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INTERVIEW

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2024.01.25

ストレスのない吸水ケアで健康寿命の伸長を

日本製紙クレシア株式会社 マーケティング総合企画本部 マーケティング部 主任

鳩貝義治

「クリネックス」「スコッティ」をはじめ、私たちの毎日に欠かせない商品群を送り出している日本製紙クレシア。同社のヘルスケアカテゴリの一角を占めるのが、軽い “尿漏れ”に対応する吸水ケア専用品「ポイズ」だ。せきやくしゃみでも起きてしまう身近なお悩みなのに、ネガティブなイメージを持たれかねない商品を届ける工夫を、マーケティング総合企画本部マーケティング部でポイズを担当する鳩貝義治氏に聞いた。

PROFILE
鳩貝義治
2010年に日本製紙クレシア株式会社入社。北関東営業支店、量販統括部で営業職を担当した後、2016年にマーケティング部に異動。以降、一貫して吸水ケア専用品を担当する。

可能性があるのに、知られたくない“尿漏れ”

―鳩貝さんご担当のブランド「ポイズ」に大きく関わる“尿漏れ”について、始めに教えていただけますか?

鳩貝 「女性の約2人に1人が経験者」といわれており、女性特有と思われがちですが、実は男性のいわゆる「キレが悪い」も尿漏れの一種なんです。加齢による筋力などの衰えが一つの原因なのでシニア世代に多いのは事実ですが、妊娠・出産がきっかけという方も少なくありません。尿漏れはあらゆる方が経験する可能性があるのですが、誰にも言えず悩んでいる方も多いという印象です。
尿漏れの不安は、トイレまでの距離が長いと高まると言われています。初めての訪問先でトイレの場所がわからないとか、高速道路をドライブ中に次のサービスエリアまで距離が長いとか。時間の長さも同じです。中座しにくい会議があると不安で集中できないという方も多いですね。

―誰にとっても身近なことなんですね。ポイズの購買層も幅広いのでしょうか?

鳩貝 若い世代にもご利用いただいていますが、メインはやはり50代以上です。市場の金額規模では女性用が大きく、男性用は、伸長率は高いですが女性用に比べてまだまだ小さいです。男性は下着に何かを付ける習慣がなくて抵抗感が大きいことも理由の一つだと思っています。
もっとも、女性の場合も専用品を使っているのは尿漏れ経験がある方の約3分の1にすぎません。周囲に知られたくなくて商品に手を延ばしにくいなどの理由で、おりものシートや生理用品などで代用している方も多いんです。ところが、一般的な生理用品の多くは水分をとどめる構造にはなっておらず、快適にお使いいただくにはポイズのような吸水ケア専用品が一番です。こうした情報もきちんと発信していきたいと思っています。

吸水ケアに取り組みやすくもっとポジティブに

―カタログを拝見して、ポイズのラインアップの豊富さに驚きました。

鳩貝 尿漏れの量やお悩みは人によってさまざまなので、「ポイズ」は吸水量や形状など細分化された商品ラインアップがあります。現在の売れ筋商品「肌ケアパッド」は、吸水量(25cc~300cc)と素材、薄さ、入り枚数の違いで24品目を展開しています。
1994年の発売当初は、商品も1品目だけでしたが、時代の変化やアクティブシニアが増えるにつれて、薄さやコンパクトさを追求した商品など、ラインアップを拡充してきました。

―利用者のニーズはどんなところにあると見ていらっしゃいますか?

鳩貝 消臭力、吸水力、肌への優しさに着目する方が多いですね。売れ筋の「肌ケアパッド」も、独自開発の機能性セルロースナノファイバーを用いた超強力消臭シートの消臭力が好評をいただいています。
特にここ数年ニーズが高まっているのは薄さです。当社でもより薄くて、目立たないものをめざして、2023年4月には「超スリム&コンパクト」を投入しました。これによって、エントリー層の獲得を図りました。

―「ポイズ」ブランドを訴求するにあたって、どんな方針をお持ちですか?

鳩貝 もともと“尿漏れ”のイメージがネガティブなので、「尿漏れが不安でできなかったことが、ポイズを使えばできるようになる」というポジティブな印象になることを心がけています。カテゴリー名を「尿漏れケア」ではなく、「吸水ケア」で統一しているのもそのためです。キャンペーンのプレゼントでも、旅行やお出かけに関するものを採用して、ポイズを使う先に、自分の気持ちを高めるような“楽しみ”があることを伝えています。
尿漏れは誰にでも起こりうることを伝えたく、テレビCMではメインターゲットにアプローチできるタレントさんを据えつつ、他にも幅広い年代の方を起用しています。
またセグメンテーションは年齢層を軸に考えがちですが、特にポイズのような商品は、年齢以上にお客さまの気持ちに寄り添わなければならないと考えています。

セグメンテーションは悩みに+気持ちで

―“気持ちに寄り添うセグメンテーション”は、どのような施策に結びついたのでしょうか?

鳩貝 お悩みや使用シーン、エントリーかヘビーユーザーかや、購入時の気持ちを軸に、お客さまの属性を考えて、売場や商品のステップを分けています。一度の尿モレ量が多く、不安な気持ちが大きい方向けのタイプ(パッド)はシニア売場に置いています。逆に尿漏れの量が少なく、手に取るのが恥ずかしいと感じやすいエントリーユーザー向けのタイプ(吸水ナプキン、パンティライナー)は、手に取りやすいように、生理用品と同じ売場で展開をしています。また買い物中に他の人に見られるのが恥ずかしいなどのご意見もあり、商品の裏面をシンプルにデザインし、買い物中やレジでも気づかれにくい商品も発売しています。

―エントリーの獲得には、“恥ずかしさ”の解消がポイントになりますか。

鳩貝 そうですね。先ほどの裏面をシンプルデザインにした商品以外に、「吸水ケア」と分かりづらくなる工夫をしています。例えば「●●㏄」や「尿」といった「尿ケア」と連想できるようなワードを小さくしたりして、目立たないような商品作りをしていますが、ヘビーユーザーからは「生理用品と間違えないように『尿漏れ』としっかり書いて」といったご要望もあるので、悩ましいですね。

―ブランドを強く打ち出しにくい中で「ポイズ」を認知してもらうには、何か工夫が必要になりますね。

鳩貝 はい。2020年に始動した「ポイズ 女性の健康応援プロジェクト」はその一環といえると思います。このプロジェクトでは、女性のライフステージを前向きに過ごしていただくために、スポーツクラブ運営のルネサンスと共同で開発したエクササイズの動画などを紹介していますが、尿漏れ予防に限定せず、美容や代謝アップもテーマにしています。
「尿漏れが起きた方はポイズを使ってください」ではなく、お客さまとの接点を長く持って、いずれ尿漏れが起きた時にポイズを選んでもらえればと思っています。

「ポイズ女性の健康応援PROJECT」

ストレスなく吸水ケアができる世の中に

―鳩貝さんがお仕事の中で感じるやりがいを教えてください。

鳩貝 お客さまから「ポイズを使い始めたおばあちゃんが、毎日楽しく外出している」という声を頂くと、私たちの思いが伝わっていると実感できて嬉しいです。ブランドメッセージに「いつだって、楽しむ準備はできている」とあるように、ポイズは日常に寄り添う商品です。尿モレがきっかけで外出がおっくうになったり、人との接点が減ったりしないよう、ポイズを通じてQOLの向上やフレイル予防、健康寿命延伸につなげることができればと考えています。
当社のヘルスケアカテゴリにはもう一つ、「アクティ」という介護用品(大人用おむつ)のブランドがあります。社内では言いづらいですが(笑)、ポイズの担当者としては、お客さまのアクティへの移行を遅らせること=大人用紙おむつへの移行を遅らせることが、ミッションの一つだとも思っているんです。ポイズのラインアップで、2回分吸収の紙パンツと同等の吸収量(300cc)の商品が近年伸びているのも、そういうニーズを反映しているのだと思います。

―シニア世代の増加を考えると、鳩貝さんのお仕事の重要性はますます高まりますね。

鳩貝 はい。ポイズを通じてシニアの活躍の場が広がれば、医療費や介護保険料の削減にもつながり社会にも貢献できるわけですから、非常に重要なカテゴリーだと思っています。
そのためには、もっと多くの方に吸水ケア専用品を紹介して、世の中の理解を深めなければなりません。生理用品も以前は話題にしにくかったと思いますが、今ではすっかり認識が変わりましたよね。吸水ケア専用品を購入しにくいとか、家族に見つからない場所で保管しているとか、そんなストレスを感じることなく吸水ケアができる世の中を創りたいと思っています。